Feature

渡辺俊美×誰かと誰かのレコードジャケット S/PEAK

10th.guest / 小籔千豊

男気ミュージシャン・渡辺俊美が、ゲストの思い入れのあるレコードジャケットを軸に語らう連載企画も第10回。記念すべき今回の対談相手は、自分の趣味を押し通す(?)音楽&お笑いフェス「コヤブソニック」を主宰する小籔千豊。彼がコヤブソニック常連出演者でもある渡辺に吐露したのは、フェスに向けて特訓しているというドラムスの悩み…。

photo:TSUTOMU YABUUCHI(TAKIBI)

今月のレコードジャケット
チャットモンチー『BEST〜2005-2011〜』

橋本絵莉子(Vo.、Gt.)、福岡晃子(Ba.、Dr.、Cho.)からなるガールズロックバンドが2012年に発表した、元メンバー・高橋久美子(Dr.)在籍時の全シングル表題曲とアルバム&ミニアルバムのリード曲を収録した初のベストアルバム。初回限定版にはライブ映像を収録したDVDが付属していた。

小藪「僕、まったく努力しないタイプなんですけど、その時は気が狂うくらい努力しましたね」

小藪「僕、まったく努力しないタイプなんですけど、その時は気が狂うくらい努力しましたね」

  • 渡辺(以下W) これはセカンドじゃなくて、ベストのやつ?
  • 小藪(以下K) はい。ご本人達にいただきました。音楽に詳しいわけではないんですけど、僕の節目になった曲となると、これに入ってる『シャングリラ』なんです。初めてドラムをやらせてもらって(*コヤブソニックにてチャットモンチーのライブに参加して演奏)。
  • W コヤブソニック5回目のときだっけ? 自分で仕切りやって、ディレクションやって、それで最後は自分で新たなことをやったから、出演者含めて全員驚いていたよね。
  • K 僕は主催者ですけど、自分が目立つイベンドになるのはちょっと嫌だなって思ってたんです。「何かやりますか?」って言われても、「いや~僕はちょっと…」って言ってたんですけど。ドラムやりたいなんて気持ちは、ほぼゼロでしたし。
  • W ハッハッハ(笑)。
  • K 憧れてたわけでもないんです。その年の2月くらいにチャットさんとお酒を飲んでる時に、「うち、ドラム抜けるんです」って言われたんです。「え~、そうなんですか、誰か入れるんですか?」って聞くと、「入れないです。私がドラムやってる時はこの子がギター、この子がドラムやってる時は私はベース」だって。でも、「ドラムとベースだけで?」って素人だから思うわけですよ。だから、老婆心が出たんでしょうね。「じゃあ、コヤブソニックまでに『シャングリラ』のドラムを僕が叩けるようになってたら、その時は一緒に演っていただけますか」って聞いたら、「全然良いですよ」って言ってもらえて。後から聞いたら、二人ともどうせ無理だって思ってたらしいんですけど(笑)。僕、まったく努力しないタイプなんですけど、その時は気が狂うくらい努力しましたね。チャットさんにしたら放っとけって話ですけど(笑)。
  • W あの頃、彼女たちは新しいことを見出したんだよね。個人個人の役割をさらに増やしたってことだから。それが凄いなって俺も思ってた。
  • K 実はチャットさんて、学生時代に文化祭の実行委員をしてて、僕等の漫才を呼んでくれてたんです。申し訳ないことに僕はちょっと憶えてないんですけど。しかも、僕がドラムをやるきっかけにもなって。それに、最初にコヤブソニックに出てもらった時も、凄い偶然が重なっているんです。当時フェスの初年度から凄い頑張ってくれてた女のマネージャーがいたんです。コヤブソニックは“俺の好きな人か、呼びたい人しか呼ばない”って決めていて、音楽業界では一番出るのが難しいフェスって言われてるんです。何の繋がり、バーターも効かないから、俺がノーって言ったらノーなんで(笑)。だけど、彼女が頑張ってくれてたから「誰に出て欲しい?」って聞いたら、「チャットモンチーです」と言うんです。そこでは「会ったことなくてハードル高いかもしれないけど頑張るわ」って伝えて、一ヶ月くらい後にスチャダラ(パー)さんと飲んでる時、コヤブソニックの話になって「今年は誰呼ぶの?」ってなったから、チャットさんの名前を出したんです。「それなら今すぐ連絡してあげるよ」ってなって。そこから話が進んでいったんです。だから、本当に偶然が重なっているんですよね。
  • W あっこちゃん(福岡晃子・Ba.)がキモだね。あの辺のオシャレ界隈と繋がってるから(笑)。
  • K 凄い何かを持ってますよね。コヤブソニックの前に、初めて3人で合わせようってなった時があったんですよ。僕、普段はiPhoneで曲かけてずっと練習していたんですけど、人と演るのが初めてだったんです。それで、えっちゃん(橋本絵莉子・Gt.)さん、あっこちゃんさんを見ながら演ってたんですけど、「あ、メンバーを好きになる気持ち、わからなくないな」って思いました(笑)。それまで「何でバンド内で付き合うんだろ?」ってずっと思ってたんですけど、「なるほど、こういうことか」と(笑)。気持ちと気持ちが重なる感じがね。
  • W ヒップホップで言う、バイブスね。
  • K お笑いではそういうこと無いんですよね。
  • W やっぱり、ベースとドラムは特にそう。僕のプロの周りではベース会はあるんですよ。ドラム会もある。アーティスト同士の飲み会的なやつが。でも、フロントは無いんだよね。小藪はビッグポルノ(レイザーラモンとのユニット)の時はフロントだから、ある意味で得意分野かもしれないけど。あと、『シャングリラ』って無茶苦茶難しいドラムから入っていくじゃない? アップテンポというか。小藪は手足が長いから、ある意味身体への伝達がやっぱり…。
  • K 小さい人よりは時間がかかるかもしれないです(笑)。僕ホンマに、ドラムレッスンの時にアイスピックがあったら、何回か左脚を刺していたと思いますよ。全然うまくいかなかったから(笑)。
  • W ハッハッハ(笑)。
  • K 右脚はドーンドーンてやるんですけど、左脚はちょっとだけ開けるんです。それが全然出来なくて。
  • W ドラムセットは買ったの?
  • K 電子ドラムだけ買いました。
  • W 本物は?
  • K 本物は置くところが無くて。嫁に「家を改装して、僕の部屋を防音室にして生ドラムを置きたい」って言ったんですけど…。「高い時計もつけてない、車もやっと最近買ったファミリーカー。ポルシェとかベンツ乗ってる奴もいるのに、俺はそれもしない。だからどうだろう、改装するのは?」って聞いたけど、「集合住宅で音漏れするし、それはどうなの?」みたいなこと言われて。今ションボリしてるところです(笑)。

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PROFILE

渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET、ZOOT16、猪苗代湖ズ)
TOSHIMI WATANABE
1966年12月6日・福島県出身

1990年に「TOKYO No.1 SOUL SET」を結成。福島県出身ミュージシャンなどと結成した「猪苗代湖ズ」でも活躍。メンズブランド「WHATEVER WORKS」のディレクションも務める。自身のソロプロジェクト「ZOOT16」の公式サイトではオリジナルTシャツなどのグッズを不定期で発表。即完なのでこまめにチェック。
watanabetoshimi.com
www.zoot16.com


今月の客人

小籔千豊 KAZUTOYO KOYABU 1973年9月11日・大阪府出身

漫才コンビ「ビリジアン」としてデビュー。2001年の解散以降、吉本新喜劇に入団。2006年から座長を務める。レイザーラモンとのユニット「ビッグポルノ」としても活動し、そこから派生した音楽&お笑い野外イベント「コヤブソニック」の主宰。2014年以来となる「コヤブソニック2017」は、11月3〜5日にインテックス大阪にて開催される。 www.koyabusonic.com


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