Feature

渡辺俊美×誰かと誰かのレコードジャケット S/PEAK

3st.guest / 村上虹郎

ライフスタイルまでパクりたくなる大人インフルエンサーの代表格・渡辺俊美が、レコードジャケットを軸にゲストとよもやま話を繰り広げる対談企画第三弾。 今回のお相手は、彼の盟友・村上淳のDNAを受け継ぐ男・村上虹郎。 現在発売中のRUDO4月号では掲載しきれなかった、 年の差30歳も離れた男同志の会話を聞け…いや、“聴け”!

PHOTO:TSUTOMU YABUUCHI/hair&make:ShinYa(PRIMAL)

今月のレコードジャケット
KEITH JARRETT TRIO
『SOMEWHERE BEFORE』

のちにマイルス・デイヴィスグループにも参加するジャズピアニスト“キース・ジャレット”率いるピアノトリオによる不朽のロングセラー。1968年にライブ録音され、ボブ・ディランの名曲『My Back Pages』のカバーを収録するなど、フォーキーかつロマンティックな音像を響かせる。

村上「(母親からもらったアルバムの中で)ずっと聴き続けてるものの真ん中にこれがあるんです」

村上「(母親からもらったアルバムの中で)ずっと聴き続けてるものの真ん中にこれがあるんです」

  • 村上(以下、M)(持ってきた作品について)本当に難しかったです、一枚選ぶのって。レコードを持っている年齢でもないですし。CDもあまり持ってないし。
  • 渡辺(以下、W) 今は(PCなどに)データを入れることが多い?
  • M そうですね。そっちの方が多いです。このアルバムも、本当は自分のiPhoneに入ってるジャケットと違うんです。ただ、良いアルバムですよね。
  • W ジャズはピアノトリオが基本で、ピアノトリオに始まり、ピアノトリオに終わるみたいな。ボクシングで言ったら、左ジャブに始まり、左ジャブに終わるというかさ(笑)。ジャブを征するヤツは世界を征するんだよ。『リングにかけろ』っていう車田正美の漫画、知らないでしょ(笑)?
  • M わかりません(笑)。本当はThe Slipが好きなので、今日のために買ってこようと思ったんです。でも廃盤になっていて。いずれにせよ、どちらも母親(UA)から教えられたんです。ピアノトリオというのも気にせずに、最初に入ったのがこれでした。だから、そんなに詳しくなくて、一曲目(ボブ・ディランのカバー『My Back Pages』)を死ぬほどリピートして。
  • W キース・ジャレットはソロもあるんだけど、俺は一人で落ち着きたい時に聴いてる。
  • M この作品を初めて聴いたのは中学生ぐらいで、その時に衝撃が走ったわけじゃなかったんです。母親からもらったアルバムにはマイルス・デイビスとか、トム・ウェイツとか、シャーデーとかあった中で、何故かずっと聴き続けてるものの真ん中にあるのがこれなんです。僕は、ハードなロックやメタルとか、ヒップホップはまったく聴かなくて。聴かないというか、触れたことが無い。
  • W 触れない方がいいんじゃないの。
  • M そうですか?
  • W 実は虹郎がここにいるのって、前回の永積くん(ハナレグミ)がリクエストしたからなの。不思議だなぁと思って。これまで接点はあった?
  • M 小さい頃から知っていました。僕は実は同世代とは音楽の話をしたことが無いんです。ランキングに入ってる曲も一曲も知らない(笑)。だから現場でも話が合わないことが多いけど、去年のドラマの現場でハナレグミが流行って、みんなずっと唄ってたんです。僕は子供の頃から知っていたから、なんか不思議だなぁと思ってました。
  • W (ハードロックなどに)触れなくていいじゃんと言ったのは、そうやって小さい時から生活の一部に音楽があったわけじゃん。だから、あえて入れなくても良いと思ったんだよね。
  • M 中学の時は普通にJ-POPを聴いていましたが、ビートルズもずっとかかっていました。『ビートルズ 1』というベスト盤をずっと聴いていて。最初に母親に買ってもらったアルバムもビートルズの『ラブ』(ビートルズの楽曲をリミックスしたシルク・ドゥ・ソレイユのサントラ盤)。
  • W そうだったの? 全然ビートルズっぽく無いじゃん、虹郎は。どっちかっていうとデヴィッド・ボウイだと思ってた。俺の感覚だと、彼はミュージシャンというよりもパフォーマー。自分で曲も作るんだけど、毎回プロデューサーを変えて、時代によって自分を変えて。そういうのって難しくて、やろうとして失敗する人が沢山いるけど、彼は成功してやり遂げた人。
  • M やっぱり自分の中に芯が無いと、どんなにカッコ良くても「あ〜(ため息)」てなりますよね。
  • W キース・ジャレットはニューヨークでやってたんだけど、行ったことある?
  • M モントリオールに留学してた時に一回遊びに行きました。でもツアーだったので、あまりピンとこなくて。
  • W 是非「ヴィレッジヴァンガード」には行って欲しいな。
  • M ニューヨークの?
  • W そう。ジャズクラブね。興味無い人はずっと寝てるけど(笑)。面白いよ。
  • M 最初にニューヨークに行ったのはいつですか?
  • W うーんとね、'87年で21歳くらいの時だったかな。まだ道端でラジカセでヒップホップ聴いてる時代。リアルタイムでそれを見れたのは良かった。もともとスパイク・リー(映画監督*代表作『ドゥ・ザ・ライトシング』)に会いに行ったの。その時は店をやってたからTシャツが欲しくて事務所まで買いに行って。そしたら、本人がジャズの映画『モ’・ベター・ブルース』を撮っていて、その場にいたんだよ。世界的に有名な人に会ったのは彼だけだけど、嬉しかったね、小ちゃくて(笑)。
渡辺「(俺くらいの年になるとファッションは)すべて中途半端くらいにしといたほうが良んだよね」

渡辺「(俺くらいの年になるとファッションは)すべて中途半端くらいにしといたほうが良んだよね」

  • M (渡辺さんと最初に会ったのは)いやぁ、覚えてないですね。気付いた時にはもういました(笑)。親父(村上淳)が一緒にギター弾いててバンドやってたから、何をされている人かはわかっていました。親父が俳優だというのもわかってたんですけど、「本当にバンドやってるのかな?」と思っていたんです。そうしたら参加しているだけだと気付いて、しかも親父があまり上手くないのにも気付いて(笑)。
  • W ハハハッ(笑)。機材だけいっちょまえでね(笑)。
  • M 出来るところは出来るんですけど、「そこだけ!?」みたいな。そのパートは完成度が高いし、格好良いんですけど。
  • W 間違いなくミュージシャンだからね、誰よりも。
  • M それしか弾かないというか、弾けないんですよ(笑)。『ごめんねマイペース』(ZOOT16*渡辺さんのソロプロジェクト)もずっと家で唄っていました(笑)。父が仕事場を借りてた時に、ずっとアコギで唄っているから僕もギターは覚えました。
  • W ギターは誰かを真似したりしてたの?
  • M 最初にギターを弾いたのは「ゆず」かなぁ。友達が弾いていて学園祭でやろうみたいになって。
  • W ゆずって難しい?
  • M 早いとは思ったけど、難しいとは思わなかったです。グルーヴを出すのに一番良くて。あとは、「ラッドウィンプス」ですかね。「ワァー!」と盛り上がるのじゃなくて静かな曲が好きでした。
  • W じゃあ、そういうのを聴きつつジャズも聴いてたんだ。ファッションはどうなの? 自分で買いに行く?
  • M ほとんど最近は自分で。古着が多いですね。安いですもん。高いのは買えないから。
  • W 俺くらいの歳になっちゃうと、古着屋さんで選ぶと本当に古い人になっちゃう(笑)。
  • M 確かにそうですね(笑)。
  • W 古着着ると、本当にただのおじいちゃんになっちゃうから気を付けないと。坊主頭になったら、具合悪くなったか捕まったかどっちかになるんだから(笑)。だからすべて中途半端くらいにしといたほうが良んだよね。あと、それこそ古着は出会いじゃん。
  • M 最高の出会いですね。服だと色は滅茶苦茶大事。でも、趣味にあった色は変わっていくんです。今は赤が一番好きなんですけど、きっといつかは移り変わっていくはずです。ただ、生地は変わらない。好きな生地だけは絶対決まっていて、それ以外は苦手というか、あまり着ません。コットンが好きなんですよ。
  • W 生地を見るのは凄いことだよ。究極のアパレルだから。良い服を作ろうと思ったら、結局生地から作らないと意味が無い。
  • M 一度舞台挨拶で衣装を一から作ることになって、パタンナーも作る人も一緒に生地から選びに行ったんです。それが服を買いに行くよりも凄く楽しくて。ただ、生地が高い! 服より高くてビックリしました。
  • W だから俺、アパレル中途半端にしてるんだよね。なるべく安くて良い物作りたいとかわかるんだけど、結局生地に辿り着いちゃうと、どうしても妥協しちゃう。だから今も服を作り続けている人は凄いなって思う。やっぱり尊敬する。リスクが半端ないからね。でも、虹郎がコットンが好きだとは思わなかったな。もっとテロテロしたやつが好きだと思ってた(笑)。
  • M 色々試したんですけどね。肌が弱いからニットとかダメなんです(笑)。

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PROFILE

渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET、ZOOT16、猪苗代湖ズ)
TOSHIMI WATANABE
1966年12月6日・福島県出身

1990年に「TOKYO No.1 SOUL SET」を結成。ソロ活動や他アーティストとのコラボ、楽曲提供も盛んで、福島県出身ミュージシャンなどと結成した「猪苗代湖ズ」でも活躍。福島県、熊本県での復興支援活動も行なっている。「WHATEVER WORKS」のディレクションも務めるなどファッションにも造詣が深い。
watanabetoshimi.com


今月の客人

村上虹郎
NJIRO MURAKAMI
1997年3月17日・東京都出身

2014年に映画『2つ目の窓』でデビュー。同作で高崎映画祭最優秀新人男優賞を獲得したほか、2016年公開映画『ディストラクション・ベイビーズ』ではキネマ旬報ベスト・テン新人男優賞ほか2つの新人賞を受賞。独特な個性が光る若手俳優として活躍中。今年は映画『武曲 MUKOKU』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』『二度めの夏、二度と会えない君』『Amy said』、舞台『エレクトラ』など出演作が立て続く。
www.decadeinc.com/actor/nijiro-murakami/

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