Feature

渡辺俊美×誰かと誰かのレコードジャケット S/PEAK

1st.guest / TOSHI-LOW

ファッションや音楽シーンをリードするRUDOな兄貴・渡辺俊美が、
今気になる人々と語り合う対談企画がRUDO1月号から始まった。
相手が影響を受けたレコードジャケットを軸に、
音楽からライフスタイル、カルチャーをタイトル通り“スピーク”!
記念すべき第一回目のゲストは
音楽面だけでなく震災復興支援も共にする盟友・TOSHI-LOW。
ふつふつと会話の頂点へと向かっていく、
RUDO誌面では収まりきらなかった二人の想いを確かめよ。
PHOTO:RIEI NAKAGAWARA

今月のレコードジャケット
SNUFF『Not Listening Ep』

UKメロディックパンクの代表格バンド「スナッフ」が1989年に発表した デビューEPで、UKインディーチャート9位を記録。ハードコアに沸くイギリスの音楽シーンに風穴を開けた。TOSHI-LOW氏所有のこちらは、ジャケットデザインは同じでVINYL JAPANが発売した12インチ盤。

渡辺「これはA面とB面があったら、B面の方に真実が隠されてるんですよ、多分。」

渡辺「これはA面とB面があったら、B面の方に真実が隠されてるんですよ、多分。」

  • TOHI-LOW(以下、T) ジャケットをテーマに話すって言うから、色んなの引っ張りだして、もちろんSEX PISTOLSとかジャケ的に好きなものはあるんだけど、もっとニオイがしてくるようなヤツがいいなって。それに渡辺俊美と対談するから、やっぱり90年代初頭の東京のニオイっていうか。
  • 渡辺(以下、W) うん。危険なニオイね(笑)。
  • T (ジャケットの裏面を見て)これは多分、90年代のド頭にSNUFFが来日した時で常盤座(浅草にあったライブハウス)かどこかかなぁ。その時はまだ90年くらいだから、こうやって観たことないアーティストだとジャケットを見て想像して。
  • W 想像するよね。とんでもねぇ所にライブ観に行くんだ、とか。
  • T 「なんだこりゃ!?」ってね(笑)。他にもNUKEY PIKESだったり、COKEHEAD HIPSTERSだったり、Hi-STANDARDだったり。自分にとって、その流れの源流がこれだと思うんだよね。このジャケットを田舎で眺めて“何だ~?”って(笑)。「どうやってライブやってんだろう」とか、「これ誰なんだ?」とか。
  • W ライブに行ったら本当、殺されるんじゃないかっていうかね。警察をジャケットに持ってくるあたりもアンチっていうか、その辺はもろに感じる。やっぱり何かしら感じるよね、ジャケットから。
  • T もっと有名なものもいっぱいあるし、ここに持ってくる一枚としてどうかなとも思ったんだけど、今後絶対選ばれないだろうっていうのもあって選んだ(笑)。カブんないだろうと思って。
  • W うん。多分、これは誰も持って来ない(笑)。
  • T 今でも(レコードを)ディグるんですか?
  • W ディグるディグる。地方とか行ったら古本屋とレコード屋さんで。やっぱり(お店が)少なくなってるけどね。前は前乗りしてたぐらいで、自分の荷物のほとんどがレコードみたいなことが多かった。俺もこのレコード、飾ってあったら絶対買うと思う。
  • T どっちがA面かB面かわかんなくて、ちょっと曲がってるし、“何だこりゃ? 安いけど”みたいに(笑)。あと、レコードジャケットって、裏ジャケまで含めるかどうかっていう考え方があるでしょ。表も良いんだけど、実は裏が良かったりするっていうか。
  • W 確かにこっちだなぁ。こっち側(裏面)の写真も撮って欲しい。
  • T これ、裏が良いんだよね。
  • W これはA面とB面があったら、B面の方に真実が隠されてるんですよ、多分。B面に名曲ありっていう。
  • T しかも、(ビートを)速くしちゃっていいんだって教えてくれた(笑)。
  • W ハッハッハ(笑)
  • T 発想が全然違っていて。
  • W 「全部ぶち壊して良いんだ!」っていうのだよね。
  • T そうそう。90年代頭に、ぶっ壊されたものって凄くある。それまで構築してあったものをかなり壊して。
  • W パンクをやってた人がレゲエをやるのと一緒で、歪みを入れていいんだ、みたいなさ。そういうのが良いんだよね。しかも消化の仕方が上手い。もし、もろにレゲエになってたりすると「何だかなぁ~」って思うけど。
  • T わかる。
  • W そうなると気持ち悪いんだよね。イチ抜けたってなっちゃう。ヒップホップもそうだけど、そっちの方に一気に振れるとコスプレみたいになっちゃて「もうヤダ!」ってなっちゃう。その辺、ブラフマンは上手くやったよね。
  • T 自分達でしかないジャンルを創っちゃったんで、そこは比べられることがないから良かったなぁと。
TOSHI-LOW「仲良くしたら負けだと思ってた(笑)」

TOSHI-LOW「仲良くしたら負けだと思ってた(笑)」

  • T 俊美さんは俺の先輩の先輩ですよね。それが初めて会ったきっかけかな。
  • W 先輩の先輩(笑)。
  • T 先輩の先輩って、先輩より絶対なんで(笑)。
  • W でも全然緊張して無かったよね、最初から。
  • T だって、お店の人(編集部注*渡辺さんは90年代初頭に原宿ラフォーレでセレクトショップ「セルロイド」をプロデュースしていた)だったもん。そのイメージの方が強かったんで。
  • W 確かTOSHI-LOWは、隣のアーミー屋さんで働いていた子の後輩だったんだよね。
  • T みなさんはTOKYO No.1 SOUL SETのイメージが強いと思うんだけど、俺は逆にそうじゃなくて、どっちかって言ったら“アパレルの人”っていうイメージが凄く強い。おしゃれで格好いい人っていうか、アイコンとして凄く好きだった。だから、高校生の頃はラフォーレ行って、セルロイドの隣の店にいる先輩に会いに行くんだけど、渡辺俊美の格好見て洋服を買っていくの。お土産に同じやつを。商品の値段はそんなに高くなかったですよね?
  • W 眼鏡とか浅草橋で仕入れてっていう感じだったからね。
  • T ハンチングとかが、えらく格好良く見えて。で、同じやつを買う。水戸には売ってないから(笑)。
  • W ハッハッハ(笑)。
  • T しかも、ちょっと自慢する(笑)。やっぱり高校生だったから買える所も限られるし、いくら好きでも高くて買えないものがあるから、雑貨に近い値段で買えたっていうのが俺ら的には凄く良かった。
  • W そういう話もしばらく経ってから聞いたからね。「あ~そうだったんだ!」みたいな。同じ土俵に上がって何かやるっていう想像が、その時はつかなかった。多分2010年くらいにスペースシャワーのイベントが終わって一緒にビールを飲んだ時に聞いたのかな。
  • T 90年代からその頃までなんで(交流が)空いてしまったかって言うと、多分田舎者を隠してた(笑)。
  • W ハッハッハ(笑)
  • T なまりは抜けないのに自分をどこか東京人に見せようとして。だから逆に、オシャレを頑張ってカッコつけていたっていうかね。当時はやっぱり人と仲良くするんじゃなくて、どっちかって言ったら付き合いづらいとか、良い人には見えない感じにする方向だった。でも、当時はあれで良かったんだよね。
  • W もちろん。だから知ってても話さないとか。
  • T そうそう。仲良くしたら負けだと思ってた(笑)。
  • W (そんなTOSHI-LOWさんの態度を生意気とは全然思っていなくて)ちゃんとプライドを持ってるなっていう風には思ってたけどね。自分もそうだったから。俺が怖いっていうイメージで周囲で言われていたのは、単純に先輩に色々盾突くからでさ。DJ業界でも「あの人ダッセー」とかって、ずっと言ってたんですよ。だから、余計に面倒くさいヤツっていう風に思われてね。まぁ、小さい時から多分そういう感じなんですよ。先輩に恵まれないというか、へそ曲りなんです。だから、(TOSHI-LOWの)そういった態度はわかるよね。この前、オーバーグラウンド アコースティック アンダーグラウンドを何回も観てるけど、初めて褒めたよね。「スッゲー良かった!」って。普通言わないんだけど。そうやって、感動したっていうのを、ちゃんと素直に言えるようになったっていうかね。お世辞ではなくて。
  • T 俺は37歳ぐらいまで人のことを褒めたことが無いな(笑)。俺以外、全員不幸になれって。
  • W 僕も含めて(笑)?
  • T いや〜、もう誰でも。面倒くさい先輩なんか、余計に早く死ねばいいし(笑)。
  • W 居なくなった方が良いもんね(笑)。俺もそう思ってたわ。

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PROFILE

渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET、ZOOT16、猪苗代湖ズ)
TOSHIMI WATANABE
1966年12月6日・福島県出身

1990年に「TOKYO No.1 SOUL SET」を結成。福島県出身ミュージシャンなどと結成した「猪苗代湖ズ」でも活躍。メンズブランド「WHATEVER WORKS」のディレクションも務める。自身のソロプロジェクト「ZOOT16」の公式サイトではオリジナルTシャツなどのグッズを不定期で発表。即完なのでこまめにチェック。
watanabetoshimi.com
www.zoot16.com


今月の客人

TOSHI-LOW(BRAHMAN)
トシロウ
1974年11月9日・茨城県出身

昨年結成20年を迎えた日本が誇る最強のロックバンド「ブラフマン」のフロントマン。渡辺俊美とは音楽面だけでなく被災地での復興支援活動も共にしている。アコースティックバンド「オーバーグラウンド アコースティック アンダーグラウンド」でも活動中。
www.tc-tc.com / hatagaya-saisei-univ.jp

お問い合わせ先
ニクソン
03-6415-6753


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