常識を凌駕する“新時代のネイティブジュエリー” Interview with 「GOD SUNS」

常識を凌駕する“新時代のネイティブジュエリー” Interview with 「GOD SUNS」

イーグルやフェザーといったネイティブ系アクセサリーは、古くから男の装飾品の鉄板だ。組み合わせを変えるなど自分好みのカスタムに熱中するRUDO読者も少なくないだろう。このネイティブアクセサリー界に、今新風が吹き込んでいる。その発生源となるブランドが「GOD SUNS(ゴッドサンズ)」だ。ネイティブ系のモチーフは扱うものの、従来のそれを凌駕する美しい仕上げは、“ジュエリー”と呼称したいほどの完成度を誇っている。今回はその背景に迫るべく、中心人物である二人のYODA氏に話を聞いた。

イーグルをメインモチーフにした注目のブランド

 

 

ーー「ゴッドサンズ」のスタートは、いつでしょうか?

 

YASUYUKI YODA(ゴッドサンズ・クリエイティブデザイナー*以下Y) もともと2017年3月にウェブストアとしてオープンして、当初はSNSとかで発信していたんですが、徐々にお店がどこにあるのかという問い合わせが増えていったんです。実店舗はもっと後を考えていたのですが、だったらお店を出した方が良いなと思って急遽物件を探しました。オープンまで半年しかなかったんで急ピッチでしたね(笑)。それで10月にこのお店を開いたんです。もともと僕は原宿の某有名ネイティブジュエリーブランドで修行をしていたので、原宿から離れるのは考えられませんでした。

 

ーー「ゴッドサンズ」という名前には、どんな意味があるんでしょうか。

 

Y ちょっとストーリーっぽくなりますが、ネイティブの世界だとイーグルは“神の使者”として崇められている存在なんです。僕たちが住んでる世界から太陽に帰って行き、太陽からやってくる。もともと太陽は神の世界だし、そこと僕たちがいる世界との架け橋になるのがイーグル。“あちら”と“こちら”を繋ぐというか。そのバックボーンを取り入れて「ゴッドサン」という言葉を選びました。あと、ブランドは僕たち二人でやっているので、最後に「S」を付けて複数形にして。“愛用してくれる人が増えたら嬉しい”という思いも含んでいます。そういう人と人とのつながりを大事にしたいんですよ。お客さんからもよく「S」が付いている理由を聞かれるんですが、同じように説明すると、すごく感銘を受けてくれる方もいます。ブランドは大事に愛用してくれる方々がいるからこそ日々成長していくと思っているので、そうゆう思いをすべて込めて複数形で「GOD SUNS (ゴッドサンズ)」という名前にしました。

 

ーーブランドのロゴマークにも思いが込められているんですよね。

 

Y そうなんです。ブランド名の由来にもある通り、もともとイーグルをメインモチーフにしたいと思っていて。イーグルは太陽を恐れずに正面から凝視できる存在だと言い伝えられてきた歴史があり、その意味で「人生において様々な困難を直視して乗り越えていけるように」という思いを込めて、僕たちは太陽とか真あるようなイメージで、イーグルを正面から見たものにしています。また、様々なコンテンツにもイーグルの目をゴッドサンズのシンボルとして使用しています。最初は100個くらい案がありましたけどね(笑)。

 

MITSUHIRO YODA(ゴッドサンズ・彫金師*以下M) 結局シンプルなものになりましたね。「やっぱりこれだな!」と二人で決めて。太陽だけやイーグルだけのものって他のブランドにもあったんですが、重なってたものが意外となかったんですよ。この重なりがシンプルで格好いいし、ブランドのコンセプトにも合ってたから、案が上がってから決まるまでは意外と早かったです。

 

 

「ゴッドサンズ」を率いる彫金師のMITSUHIRO YODAさん(左)と、クリエイティブデザイナー・YASUYUKI YODAさん(右)。

 

YASUYUKIさんがカスタムした、見るも豪華なイーグル&フェザー。

 

上品なデザインと輝きがあるだけに、重ねづけしても好印象を確保できる。

 

シルバーとビーズのミックスは、男らしいファッションの鉄板だ。腕時計の相棒としてもぴったりだ。

 

ロックとバイクが好きというMITSUHIROさんらしく、フェザーと古着を上手に合わせていた。

 

 

 

物語を持った新しいネイティブジュエリー

 

 

ーーショップの外観は真っ黒ですが、一見ネイティブアクセサリーブランドのショップには見えないですよね。

 

Y もともと黒くするつもりだったんです。他の有名店とかは主に木張りで、よりネイティブテイストが強いと思うんですが、僕らは“新しいネイティブジュエリーを立ち上げていきたい”という思いがあったんです。二人ともアメカジが好きだし、ストリートカルチャー、ワークテイストも好き。でも、ファッションって時代によって変化していくし、価値観とともに変わっていく。もちろん僕の中でも変わっていく。以前はネイティブアクセサリーってアメカジの人しか着けなかったけど、今はそうではなくなってきた。若い世代や違うジャンルの人も着けているし、ストリートでもフェザーはかなり取り入れられています。だからこそ新鮮さを出したかったというか、いわゆるネイティブっぽくせず、いい意味で裏切りたくて。木張りは他の格好いいブランドさんもにあるし、違うように見せたかったんです。外観が真っ黒なので、怪しい館に間違われることもありますけどね(笑)。

 

ーーでも、幅広いお客さんが来るという意味ではコンセプトに合ってますよね(笑)。

 

Y そうかもしれませんね(笑)。

 

ーーお二人は双子ということですが、アイテム作りの役割分担はどうしてるんですか?

 

Y 僕がデザインしたものをMITSUHIROが形にしています。デザインの裏にあるストーリーをイチから説明して、それを感じ取ってもらって。

 

M 10回くらい作り直しをさせられることもありますよ。「ここが違う、ここも違う」なんて何度も言われた時にはイラっときますけどね。

 

Y 喧嘩もよくするし。

 

M でも兄弟なので、遠慮なくバンバン突っ込めるんです。

 

Y だからこそ妥協のないものが作れると思うんです。気を使わないで意見を言い合って。僕の中には(デザインの背景に)結構ストーリーがしっかりあるので、それを形にしたいという思いが強いんですよ。でも、双子でも感性が似ているところもあれば違う部分もあって、毎日喧嘩しながらやっていますね。それを越えたら良いものができる実感があります。

 

ーーアイテムの一個一個にストーリーがあるとは驚きです。

 

Y 格好つけているわけじゃないんですが、作品に命を与えるのにストーリーは絶対必要だと思ってるんです。僕は映画を観たり本を読んだりするのが好きなんですが、そこに隠されているメッセージにすごく惹かれるんです。だからこそ、どんな作品にもストーリーを付けてあげたい。アイテムに何らかの意味があると思い入れも変わってくると思いますし。例えば実際のイーグルって生きているから成長していくじゃないですか。そういう意味で、赤ちゃんから大人までを表現できるように、サイズ違いでたくさん揃えている部分もあります。あと、表情も違うんですよ。赤ちゃんの頃は無垢で、大きくなるにつれて表情に感情を込めて、ビッグサイズはよりリアルになって口が開いている。そうやってイーグルの成長過程を表現したかったんです。ハートはイーグルの胸がモチーフなので、ハートフェザーは愛情があって柔らかく繊細にして、どちらかというと中性的。爪は逆に男性的というか、武骨でワイルドな強さを強調しています。矢尻フェザーは初となるものなのですが、矢尻に守るという意味があるので、武器ではあるけど身を守るという意味を込めています。仲間とか家族とか、自分が大切なものを守るというイメージなんです。

 

 

入り口にはインディアンの肖像が。黒でまとめられた外観には高級感と風格が漂う。

 

自然光が差し込む落ち着いた店内だけに、心ゆくまでジュエリーを選べる。

 

ターコイズアイテムのゾーンもしっかり設けられている。