飲んで飲まれて男談義「おごられ酒」 legend 吉原 直

飲んで飲まれて男談義「おごられ酒」 legend 吉原 直

強さ、優しさ、ファッションなどなど、男の格好良さを測るパラメーターは数知れず。でも、“形には現れない格好良い”を追求している男もいるはずだ…と思っていたら、見つけました。それが、アクセサリーブランド「legend(レジェンド)」代表、吉原直です。“スキンヘッド&作務衣姿”というパッと見は強面の職人である彼のご自宅にお邪魔し、焼肉と酒をゴチになりつつ酔いどれ深夜放談!

 

身に付けた人が格好良くなれるものを作らないといけない。その思いは強いですね。

 

ーーレジェンドの目標はなんですか?

吉原 金が欲しい(笑)! でも、もっと欲しいのは地位と名誉です。

 

ーーお金があったら手に入るじゃないですか。

 

吉原 金があっても手に入らないものを見つけたんですよ。原宿に1店舗しかない超有名なアクセサリーブランドがありますが、あそこのアイテムって、中古でも値段が上がっちゃってるじゃないですか。ヴィンテージの値段が上がるのは当然なんですが、普通は現行品ってお店から出た瞬間に値段が下がる。そうならないのって、エルメスのバーキンとか数少ないと思うんです。そうなりたいんですよ。普通は無理なんだけど、そこまでいけたら勝ちじゃないですか。自分は儲からないけど、名前は売れるというか、プレミアがつくようなブランドにしたいです。

 

ーーアクセサリーブランドって、当然技術がしっかりしている。でもその分、ブランドの見え方というか、アイテムの見え方に厳しい部分があると思うんです。編集部が良いと思った撮り方でも、「ここがこう光ってないと」とかこだわりが強い。そういう点では洋服ブランドとは比べ物にならない部分がある。服はデザイナーが最後まで作り上げているわけじゃなくて、工場とか生産とか他の人の手が入るけど、アクセサリーって結構デザインから完成まで一人で作ることがある。だからこそ、アイテムの見え方にこだわりがあるんじゃないかなと思うんです。でも、正直それはいらないんじゃないかということが結構あって…。その点、レジェンドは自由にやらせてくれるから、凄く媒体としてはありがたいです。

 

吉原 物の見え方って人それぞれだと思います。こんな見え方もあるんだなって思える方が僕は良いんですよ。アクセサリーなんて身に付けてナンボですから。置物を作ってるわけじゃないし。僕はあくまでも職人になりたいんです。もしかしたらデザイナーはそれでもいいのかもしれないけど、オナニーでは終わりたくないんです。僕が作ってるものって美術品や工芸品ではないし、ファッションの付属品。一番目は人。二番目は洋服、三番目がアクセサリー。僕には一番と二番は作れないし、衣食住の“「衣」の付属品”を作ってると思ってるんです。衣食住にコバンザメしているものというか(笑)。それであるならば、置いた姿が格好良いものではなく、身につけた人が格好良くなれるものを作らないといけない。その思いは強いですね。

 

ーー作ってゴールじゃなくて、身に付けた人の姿がゴールというか。

 

吉原 雑誌での見せ方とか、僕が思わなかった見せ方とかの方がワクワクするし、だから編集部の方とかとお付き合いしているのも楽しいんです。

 

ーーありがたいです! 最後にブランドとか関係なく、吉原直としての個人的な目標を教えてください。

 

吉原 奥さんが10歳下なんですけど、俺の方が先に死ぬから20年分の貯えを彼女に残したいですね。あとは娘のために外壁塗装をもう一度やれる資金を残したいです。あと、ネイティブアクセサリーってそれほど大きくは変わらないものだと思うんです。デザインとか、元ネタとか。その中でずっと続けていられるのは、僕の諦めが悪いんだなと。だから、今後も諦めが悪くいたいですね(笑)。

 

 

 

工房内に貼られた直さん的訓示。ぐっさりと心に突き刺さる文面だ。

 

ご近所にある神社にて桜の下で一枚(取材時は4月)。日本の職人には抜群のロケーションだ。

 

神社の鳥居の前で響ちゃんと父娘2ショット。彼女のための外壁塗装に向けて、まだまだ伝説は終わらない。

 

 

 

吉原 直
1978年4月29日生・大阪府出身
幼少期より物作りの凄さに触れ、小学校高学年の頃からアクセサリー作りをスタート。当時の実家近くのアクセサリーショップで腕を磨いたのち、2002年4月29日にアクセサリーブランド「legend(レジェンド)」を設立。本格的なネイティブアクセサリーをベースにした新鮮かつ奥深いデザインは、ファッションのワンポイントとして取り入れやすい魅力を備えている。常にスキンヘッドと作務衣姿という出で立ちで、家族は妻と一女。

 

レジェンド横浜・六角橋本店
神奈川県横浜市神奈川区六角橋1-10-12
TEL:045-421-8209
kirariya-legend.com

 

 

photo:TSUTOMU YABUUCHI(TAKIBI)

 

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*対談場所

吉原家の二階
元和食屋だった建物を買い取って自宅兼作業場にする吉原氏。その二階は宴会場だっただけに数十帖の和室が広がっている。この広大なスペースを活用して、今回は「焼肉よしはら」を緊急限定オープン。A5クラスの高級肉からRUDOスタッフの舌を考慮した激安肉まで豊富に用意してくれた。普段は金麦だというが、この日はアサヒスーパードライを奮発。室内としては珍しく、タバコOKなのも高ポイント。