日本最大級のバーバー&カルチャーフェスのキーマンを直撃 HOUSE OF SEVEN -INTERVIEWS-

日本最大級のバーバー&カルチャーフェスのキーマンを直撃 HOUSE OF SEVEN -INTERVIEWS-

バーバー、ホットロッド、ミュージック、ファッション、アートといった、男なら見逃せない世界観を一つに濃縮した一大複合型フェス「HOUSE OF SEVEN」が11月4日にベルサール渋谷ガーデンで開催された。数多くの観客を集めたこのフェスの会場で、RUDO編集部はキーマンたちとのコンタクトに成功。独占インタビューを敢行した。

 

男が好む様々なカルチャーを一つにまとめ、これほど大きい規模で表現したのはおそらくHOSが日本初。“シーンを切り開いた”とも言えるこのイベントだが、やはりアイデンティティーの一つであるカットショーは別格。世界一と呼び声の高いオランダのSCHOREM、ポルトガルのFabio Marques、2018年の女性バーバー1位に輝いたSOFIEなど、世界中から集結した人気のバーバーたちがそれぞれの腕前をステージで披露した。

 

主催者である小松氏(後述)によると、セレクトの基準は「クラシックなスタイルをきちんとできる人。アメリカンバーバーをベースにカルチャーを推し進めている人」。中でも、「BCYN Mens Groomer of The Year 2018」を受賞したJULIUS CAESARの人気は圧巻で、その風貌からは想像もつかない繊細なハサミさばきには、思わず見惚れてしまうほどだった。そんな世界的セレブからも注目を集める彼に、大切にするポリシーや日本のバーバーシーンの印象を聞いた。

 

 

JULIUS CAESAR。いかつい風貌ながら茶目っ気のあるナイスガイだ

 

 

「ここ数年でトラディショナルなバーバーが発達してきたよね。特に東京では優れたバーバーが多いと思うよ。本当に可能性があると思うし、素晴らしい能力を持っている人もたくさんいる。だから、これからもどんどん大きくなるはずさ。世界的に見てもまったく遜色ないし、パーフェクトだよ」

 

トレードマークのトラックジャケットとパンツに身を包み、黒いマスクをしてヘアカットを行うJULIUSは、ただ髪を切るのではなく、その人のカルチャーやライフスタイルを常に意識する。しかもルックスに反して(?)ナチュラルでクリーンなスタイルが得意なのだという。

 

「僕はすべての生活をバーバーに捧げてるつもりだけど、ただ単にヘアカットをしたいわけじゃない。みんなに合ったスタイルを提供したいんだ。例えば会社に勤めている人、フリーランスの人とか職業もいろいろだし、ファッションだってそう。それぞれに合ったスタイルがあるはずなんだ。ヘアカットはみんなの生活に影響を与えるものだからね。それに、僕は量よりも質を大事にしている。決してたくさんの人の髪を切るために僕はいるんじゃない。もっとパーソナルで価値のあるヘアカットを、きちんとやっていきたいんだ」

 

 

カットショーを披露するJULIUS。手早く丁寧にスタイルを作り上げる。

 

髪の毛をただ切るのではなく、スタイルまで提案することがJULIUSのモットーだ。

 

 

彼のように心の底からバーバーであることに誇りを持ち、ヘアカットを続ける実力者を筆頭に、来場者を熱狂させるバラエティ豊かなカルチャーが一堂に会したHOS。それだけに今後の展開が気になってしまうのもファン心理。そこで次は、主催者であるFIREWORKS代表である小松大輔氏にもインタビューを敢行。日本のバーバーシーンの火付け役「MR.BROTHERS CUT CLUB」も運営するキーマンに、HOSへの思いとこれからを語ってもらった。

 

「今まで何度もジャックダニエルとかと組んでバーバーイベントをやってきましたが、これまでの理美容関係だけでしたし、それだけでは広がりが少ない。だからこそ、ファッションやホットロッドやアートと結びつくことで、バーバーの格好よさをより世間に伝えられると思ったんです。こういったイベントは世界でもあまり無いと思います。アメリカでもヨーロッパでも、バーバーイベントは通常は月火(バーバーの休日)に行われるし、日曜日にこれだけの規模で開催しているところは珍しいはずです」

 

もともとファッションや50年代のバーバーカルチャーに興味があった小松氏だけに、バーバーを愛しつつもHOSではその見せ方にあるルールを設けていた。

 

「実はバーバーの色はあえて強くしすぎないように意識していました。あくまでもカルチャーのイベントにしたかったんです。本来髪型ってスタイルの中で最後の方。例えばヒップホップとか音楽があって、そこから洋服とかのファッションが生まれ、最後にヘアスタイルだと思うんです。川上から川下へ流れていくというか。それを踏まえてバーバーの格好よさが伝わればいいなと考えていました。でも、僕らはバーバーなのでファッションにはそれほど詳しくない。ホットロッドももちろんです。だから、スタイリストの江崎聡さんにはファッションを、フォトグラファーの鈴木嘉樹さんにはアートの監修を担当してもらうなど、みなさんに協力してもらいながら作り上げました」

 

 

ファイヤーワークス代表・小松大輔氏。MR.BROTHERS CUT CLUBを手がけた首謀者こそ、この男だ。

 

 

バーバーを愛しつつも、イベントの成功のためにバランスを取る意識があったからこそ、HOSは東京発のカルチャーイベントとして成立したのだろう。となると、やはり次が気になってしまうのが本音だ。

 

「このイベント開催まで準備が一年もかかって大変だったんです(笑)。でも、次はもっと大きくしたいし、ロック系の海外アーティストとかも呼んでみたい。渋谷の道玄坂という場所でこういうイベントを行うのは面白いと思うし、ぜひもう一度やりたいですね」

 

順調に行けば来年HOSは第二回を迎える。カルチャーを愛し、そのカルチャーを広げようとする人々が集う空間は、むせかえるほど熱いもの。それがまた一年蓄えられるのだから、見える景色はきっと今年とは違うものになっているはずだ。

 

 

photo:TOSHIAKI UNNO

 

 

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